レプリソーム グッズコラム

Vol. 6 レプリカ・スウィングマン・オーセンティック 後編

はじめに
前編では、形・素材とその形状の特徴(ツヤツヤしているなど)、外観に着目してきました。
飾って楽しんだり、着用してどのような格好に見えるかについては、前編でお知らせしたことが非常に重要ですが、あくまでそれは 第3者が見てどうなのかであり、実際に着てみて・使ってみてどうなのかについてはふれてきませんでした。
そこで今回は、これらのジャージのに着目してみました。


重さによる比較
ここで、「生地が〜ジャージの方が厚いです・薄いです」と比較して述べるのは簡単ですが、比較したその差がどのような物なのかについては、お客様には文章を読んでいただいたり、写真を見ていただいてイメージしていただくしか出来ません。
この違いは、実際ご購入・着用された時に意外と感じるものです。そこで、少しでもその質の違いが目に見えるよう、その差を重さで測定比較することにしてみました。
<比較の方法>
 秤の上に各ジャージをのせて重さを測定する
(秤にかけるための板は同じ物を使用)。
レプリカジャージ

240g
スウィングマンジャージ

280g
オーセンティックジャージ
Mitchell & Ness社 HWC

380g

この結果の通り、同じ大きさの物なのに重さが違うことがわかります。

<ちょっとここで問題が・・・>
 レプリカジャージ、スウィングマンジャージ、オーセンティックジャージはお互いに同じXLサイズですが、在庫の都合でペイサーズのホーム用オーセンティックジャージの48サイズを用意できませんでした。
そこで急遽、Mitchell & Ness社48サイズのオーセンティックジャージを比較に用いています(下画像)。
念のため、下から「レプリカジャージ・スウィングマンジャージ・Mitchell & Ness社のオーセンティックジャージ」の順で重ねてみました(下画像・右)。スウィングマンジャージ独特の後ろのスソが見えているだけで、大きさ(着幅・着丈)としては全く遜色ありません。




とはいえ、サイズが一緒でもメーカーも異なれば、デザインも違う物同士を比べるのは、いささか眉唾で妥当な比較なのか心元ありません。
逆に同じ仕様とはいえ、下の写真の通り、大きさが著しく異なる物同士を、そのまま比べるわけにもいきません(56 inchサイズは、M・L・XLのアルファベット表記だと3XLに相当)。

レプリカジャージとの大きさの比較

スウィングマンジャージとの大きさの比較
いすれも、オーセンティックジャージの上に重ねて撮影した写真画像です。
オーセンティックジャージの方が、大きいサイズのため、生地が下あるいは横から見えているのがわかります。

そこで再度、前編で用いていた56 inchサイズのペイサーズホームジャージを用いて、
『このジャージが56 inchサイズでなく、48 inch サイズなら何gだったのか』

という理論値を計算することにしました。



― 計算 ―
面倒くさい方は飛ばして下さい


計算方法
 『56 inchの時にAgなら、48 inchだったら何gだったのか』という比例計算をします。
Reebok 56サイズ
オーセンティックジャージ
500g

このジャージの
48サイズの理論値
367g
上の写真の通り、56 inchサイズのオーセンティックジャージは500gでした。
この500gという値は、板状のジャージ、つまりある面積の重さですので、比較する長さを二乗して面積の値に変えます。

562(inch2):482(inch2)=500(g):?(g)
⇒ ?=(48×48×500)÷(56×56)=367.346・・・≒367(g)
理論値 367g

検証の結論:
 48 inchサイズのMitchell & Nessオーセンティックジャージは、380g。
 56 inchサイズで、同じ仕様のReebokオーセンティックジャージから計算した理論値は、367g。
この2つの値を比較すると、重さは13g異なりますが、誤差は約3%ほどです。
このことから、Mitchell & Ness社の製品を比較対象としてもいいと言えます。
つまり、

 XLサイズのレプリカジャージ → 240g
 XLサイズのスウィングマンジャージ → 280g
 XLサイズに相当するオーセンティックジャージ → 380g


同じ XLサイズ(面積)なのに重さが違う
= 比重(g/cm2)が異なる

ということです。これが商品としての質にも影響してきます。


商品への影響
1.同じサイズでもレプリカとオーセンティックでは100g以上、着心地の重量感が異なる。
両方試着した場合、オーセンティックジャージの方が100g分、ズッシリ着ごたえがあります。
2.価格への影響
先の前編でもお知らせしました通り、品質(生地や凝った造り)の上では
レプリカジャージ < スウィングマンジャージ < オーセンティックジャージ
でした。
同時に価格の面でも同じことがいえます。もちろん、凝った素材・造りの商品の方が高値です。
3.同じ面積で重さが異なる=質に違いがある=商品としての品質に差がある。
同じ身長で普通体格の人と、筋肉質の人とでは体重が異なり、どちらの人が衝撃などのストレスに強いかはおわかりいただけるかと思います。
またNBA選手でも、バークレー選手とジョーダン選手が同じ身長(公称)なのに体重(=体格)が異なるだけで、ポジションもプレーの質(内容)も異なっていたことからも、おわかりいただけるかと思います。
ジャージにおけるこの重さの違いは、生地や各部(選手名・背番号など)素材の差として表れています。
ラバープリントとパッチではパッチの方が、また二色一層のラバープリントと、各色のパッチ同士を縫い合わせた物とでは、もちろん後者の方が丈夫です。
(今回、生地の厚さを測れませんでしたが)薄めのナイロン生地と、厚手のポリエステル生地とでは後者の方が丈夫です。
まとめ
 レプリカジャージ(7875円)、スウィングマンジャージ(13440円)、オーセンティックジャージ(25800円〜)と、同じジャージ同士でも価格の違いが、その素材や仕様に反映されていることがおわかりいただけたと思います。
より丈夫で凝った造りの物を着るにこしたことはありませんが、その場合は価格にもその良さが表れてしまいます。
また、値段の高いジャージは、多くの選手・種類を集めようとするコレクターの方向きではありません。
その一方で、バスケットボールや運動する時に着用する場合、それなりの耐久度や動きやすさ(生地が軽い・柔らかい)が求められます。

 本格的で丈夫なオーセンティックジャージを選ぶのか、数を集めたいからレプリカジャージを選ぶのか、その中間のスウィングマンジャージを選ぶのかは、お客様次第です。
本文が、これまでご存知なかったお客様のご購入にあたっての何かしらの指標となれば幸いです。

おまけ
 今回は幸いにも、もう1種類のジャージがございましたので、ご紹介したいと思います。
奇しくも、今回あげた例の物より以前のデザインですが、同じくレジー・ミラー選手のプロカットジャージです。

NBAオフィシャルメーカーが、Reebok 社へ移行する前は Champion 社がオフィシャルメーカーでした、現在では、ほとんど見られなくなりましたが、当時はレプリカジャージ、スウィングマンジャージ、オーセンティックジャージの他に、プロカットジャージという物が存在していました。これこそが市販されている商品の中で、最も選手が着用している物とほぼ同じと言われています(詳細は不明ですが、選手が実際に着用している物と、縫い目などが異なると言われていました)。
概説しますと、サイズはワンサイズのみで、M・L・XLのようなシフトはありません。選手の体にあったサイズのみが存在します。
サイズタグを見ると、当時の 42 inch サイズに着丈を 2 inch 足したもの(Body Length +2)、とされています。
「着幅は42でいいけど、丈が足りないので2インチ足した」ということですから、細長い体型の方が着用されることになり、容易にミラー選手のあのスマートな体が連想されます。

また、生地・パッチといったジャージを構成する材料・部分は、(少なくとも筆者の目には)オーセンティックジャージとの違いはないように感じられ、Champion 社から引き継いだReebok社、常に独自のテーマを持ってジャージの生産を行なう Mitchell & Ness 社の企業努力のように思われます。

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