旅行記Vol.13 Naismith Basketball Hall of Fame

おわりに
 今回は、NBAのみならずバスケットボールの殿堂をご紹介しましたが、いかがだったでしょうか。
この Hall of Fame が存在するスプリングフィールド、ならびにボストンですが、しばしばアメリカの他の地域の方は、この地方の人々を「スノピー(鼻持ちならない連中)」と呼ぶことがあります。
ここの人々が話す、淡々としたイギリス発音の流暢な英語や、ハイウェイに何かの時のためのマージンである路肩がないこと、そして Hall of Fame スタッフの態度を見て心当たるものがあります。

また、どのスタッフもみな、こちらが尋ねてもいないのに、声をかけてきてあれこれと教えてくれるのです。
恐らく、この「教えたがる」姿勢が、「= 自分は何でも知っているよ」と、知識をひけらかしているように感じられた方々が、スノピーという言葉を使うのだと思われました(メイフラワー号が辿り着いた聖域と言われたり、アイビーリーグというアメリカ屈指のエリート大学が軒並み存在することも背景にあると考えられます)。
ただ、教えてくれる内容を語るその態度には、誤解されるような姿勢や、単なるサービス精神旺盛ということだけではなく、「知ること = 価値のあること」という価値観や、内容を伝えようとする情熱が見受けられました。

 大正時代のバスケットボールの試合の写真など珍しい物の他に、「プレーする」だけでなく、「知ることで楽しむバスケットボール」も存在することを発見できたこと、また、周りで「どこまで押すとファールで、どこまでならインプレーなのか」といった話題の絶えない筆者にとって、最初はフットボール並に荒々しい競技だったことを発見したのは、今回の取材において大きな収穫でした。

奇しくも今回の取材日が筆者の誕生日でした。
筆者にとっていい勉強になっただけでなく、いい記念日にもなったこと、懇切・丁寧に教授して下さった Hall of Fame のスタッフの皆様に、この場を借りて厚く御礼申し上げます。

最後になりましたが、以下にネイスミス博士が考案した、1番最初のバスケットボールの13のルールと、 Hall of Fame に選ばれた選手・監督・審判・コントリビューター・チームの一覧 、旅行記にいつも掲載されております「おまけ」を記載いたします。

また後日、この Hall of Fame の商品をサイト上にてご紹介いたします
今後とも当サイトのこうした企画におつきあいいただければ幸いです。
2007年4月6日 レプリソーム


1891年
ネイスミス博士によりバスケットボールが考案


13条のルール
  1. ボールはいかなる方向へも、両手または片手で投げることができる。
  2. ボールはいかなる方向へも、両手または片手で弾くことができる。
  3. 選手はボールを持って走ってはならず、ボールをキャッチした場所から投げなくてはならない。
  4. ボールを保持する際は、両手を使わなければならず、腕や体を用いて保持してはならない。
  5. 選手は、相手チームの選手に肩をぶつけたり、抑え込んだり、押したり、体をひっかけたり、ぶつけてはならない。これらが生じた場合、1回目はファールとしてカウントするだけだが、2回目は次のシュートが決まるまで、ファールした選手をコートへは戻せない。また、相手を負傷させる明確な意図が見受けられた場合、ファールした選手を退場とし、その試合には戻すことができない。
  6. 上のルール3〜5を適用して、ボールを拳で叩くことはファールと見なす。
  7. 片方のチームが3回連続してファールを犯した場合、相手チームの得点とする。ただし、片方のチームが3回連続してファールした場合のみとし、その間に1回でも、もう一方のチームがファールを犯していた場合は除く。
  8. ディフェンスがシュート(原文ではgoalという言葉を使用)に触れたり、妨害することなく、ボールが投げられあるいは弾かれてカゴに入り、そこに留まった場合にのみ、ゴール(得点)が認められる。また、ディフェンスにより、カゴが動かされたりした場合は、得点として認められる。
  9. ボールがコートの外へ出た際は、選手によるスローインが行なわれ、どちらのチームの保持か明確でない場合は、審判によるスローインが行なわれる。投げるまでに5秒の時間が与えられるが、これを越えると相手ボールとなり、アウトオブバウンズを執拗に繰り返すチームには、線審(原文:umpire)により、ファールが課せられる。
  10. 線審とは、選手についてのみをジャッジする。ファール数の記録を行ない、上記の3回連続ファールを審判(referee)に伝える役目を果たし、上記のルール5による選手の退場権限も持っている。
  11. 審判はボールについてジャッジを行なう。プレー中のボール、バウンドしている時のボールが、どちらのチームの保持なのかを判断しなくてはならず、また試合時間も管理し、得点の管理もしなくてはならない。
  12. 試合時間は、前後半制で各15分ずつとし、間に5分の休憩が入る。
  13. より、多くのゴールをしたチームが勝者であり、引き分けた場合は、両チームのキャプテンの同意により、次のゴールが決まるまで、試合は続行される。
1892年
最初のルールがスプリングフィールド大学の新聞(スプリングフィールド・カレッジスクール・ニュースペーパー)に公表
1893年
バスケットボールがノースハンプトンにあるスミス大学で女性にも推奨される。
1894年
中国へバスケットボールが紹介される。
1897年
ダブルドリブルルールを制定・導入。
1898年
最初のプロ6チームが誕生する。
1907年
5ファールでファールアウト(退場)とし、同年にトラベリングルールなどが制定。
1909年
1名制だった審判を2名制に変更。

 
選手
1959
*チャールズ D. ヒアット
*アンジェロ・ルイゼッティ
*ジョージ L. マイカン
*ジョン J. スコマー
1960
*チャールズ C. マーフィー
*ブランチ・マククラッケン
エドワード C. マカーリー
**ジョン R.ウッデン
*ビクター A. ハンソン
1961
*バーナード・ボーグマン
*フォレスト S. デバナーディ
*アンディ・フィリップ
*ジョン S. ルーズマ
*エドワード A. ウォッチャー
*クリスチャン・ステインメッツ
ロバート A. カーランド
1962
*ハーラン O. ペイジ
*バーニー・セドラン
*ジョン A. トンプソン
*ジャック・マククラッケン
1963
*ロバート F. グルーニック
1964
*ハロルド E. フォスター
*ジョン D. ラッセル
*ナット・ホーマン
1966
*ジョー・ラプチック
1969
*ヘンリー G. デナート
1970
*ロバート E. デイビス
1971
ボブ J. クージー
ボブ L. ペティット
1972
*マックス・フリードマン
*ポール・エンダコット
1973
アドルフ・シェイズ
*ジョン・ベックマン
1974
*アーネスト J. シュミット
1975
ビル F. ラッセル
*ロバート P. ヴァンディバー
*ジョセフ R. ブレナン
1976
**ビル W. シャーマン
トーマス J. ゴーラ
*エドワード W. クラウス
1977
*ウィリアム C. ジョンソン
*ローレン・ゲイル
*チャールズ T. クーパー
エルジン・ベイラー
1978
*ジェイムス C. ポラード
クリフ O. ハーガン
*ジョセフ F. ファークス
*ポール J. アリジン
1979
*ウィルト N. チェンバレン
1980
オスカー P. ロバートソン
ジェリー A.ウェスト
ジェリー R. ルーカス
1981
*トーマス B. バーロー
1982
スレイター N. マーティン
フランク V. ラムジー
ウィリス・リード, Jr
ハル E. グリアー
1983
ジョン K. トゥワイマン
*デイブ A. デバッシャー
ビル W. ブラッドリー
1984
ジョン・ハブリチェック
サム・ジョーンス
1985
ネイト・サーモンド
アルフレッド N. サーヴィ
1986
トーマス W. ハインソン
ビル J. カニングハム
1987
リック F. バリー
ロバート・ワンザー
*ピート P. メラビッチ
ロバード J. ヒューブレッグス
ウォルター・フレイザー
1988
ウェス S. アンセルド
クライド E. ラブレット
*ロバート・マクダーモット
1989
**レニー・ウィルケンズ
*ウィリアム "ポップ" ゲイト
K. C. ジョーンズ
1990
エルビン E. ヘイズ
デビッド・ビーング
アール・モンロー
*ドナルド N. ジョンストン
1991
ネイト・アーチボルト
ハリー J. ギャラティン
デイヴ W. コーエンス
1992
ボブ J. レイニア
ネーラ D. ホワイト
セルゲイ・ベルロフ
コーネリアス L. ホーキンス
ルシア・ハリス-ステュワード
1993
ジュリアス W. アービング
ダン P. イッセル
ビル T. ウォルトン
ウリアナ・セミヨーノヴァ
ウォルター・ベラミー
アン E. マイヤーズ
カルビン J. マーフィー
リチャード S. マクガイア
1994
キャロル・ブラゼヨウスキー
*ハリー・ジーンネット
1995
カリーム A. ジャバー
ヴァーン・ミケルソン
シェリル・ミラー
アンネ・ドノヴァン
1996
ジョージ・ガーヴィン
ナンシー・リーバーマン
*ジョージ・ヤードレイ
デビッド・トンプソン
ゲイル・グッドリッチ
*クレシマー・コージック
1997
ベイリー・ハウウェル
デニス・カリー
ジョーン・クロフォード
アレックス・イングリッシュ
1998
アーニー・ライゼン
ラリー・バード
マーキス・ヘイズ
1999
ケビン・マクヘイル
2000
ボブ・マッカドゥー
アイザイア・トーマス
2001
モーゼス・マローン
2002
*ドラゼン・ペトロビッチ
マジック・ジョンソン
2003
ロバート・パリッシュ
ジェイムス・ウォージー
ディノ・メネーヒン
2004
モーリス・ストークス
リネット・ウッドアード
ドラゼン・ダリパジック
クライド・ドレクスラー
2005
ホーテンシア・マーカリー
2006
ジョー・デュマース
ドミニク・ウィルキンス
チャールズ・バークレー

*は故人
**は選手・コーチの両部門で受賞
監督
1959
*フォレスト C. アレン
*ヘンリー C. カールソン
*ウォルター E. ミーンウェル
1960
*アーネスト A. ブラッド
*フランク W. キーニー
*ウォード L. ランバート
1961
*ジョージ E. コーガン
*レオナルド D. サックス
1964
*ケネッス D. ルーフラー
1965
*ハワード A. ホブソン
1966
*エベレット S. ディーン
1967
*ハワード G. カン
*エイモリー T. ギル
*アルビン F. ジュリアン
1968
*アドルフ F. ラップ
*レッド・アワーバック
*ヘンリー P. イバ
1969
バーナード L. カーネベイル
1971
*エドガー A. ディドル
1972
*ブルース・ドレイク
*アーサー C. ロンボーグ
**ジョン R. ウッデン
1975
*ハリー・リトワック
1976
*フランク J. マクガイア
1978
*エドガー S. ヒッキー
*ジャスティン M. バリー
ピーター F. ニューウェル
*ジョン B. マクレンドン
*レイモンド J. マイアー
1979
*エベレット F. シェルドン
1980
*アラッド A. マクカッチャン
1981
*クラレンス E. ゲインズ
*エベレット N. ケイス
1982
ディーン E. スミス
1983
*ジェイムス H. ガードナー
1984
*W. ハロルド・アンダーソン
*L. マーガレット・ウェイド
マーヴ K. ハーシュマン
1986
*ウィリアム "レッド" ホルツマン
*フレッド R. テイラー
*スタンリー H. ワッツ
1988
*ラルフ H. ミラー
1991
ロバート M. ナイト
1992
ルイス P. カーネセッカ
*アルフレッド J. マクガイア
*フィル・ウールパート
ジャック T. ラムジー
1994
チェザーレ・ルビーニ
デンジル E. クラム
チャック J. ・デイリー
1995
ジョン・カンドラ
*アレクサンドル・ゴメルスキー
1997
*アントニオ・ディアズ-ミグエル
ドン・ハスキンス
ピート・キャリル
1998
ジョディ・コンラッド
**レニー・ウィルキンス
*アレクサンダー・ニコリック
*アレクサンダー・ハンナム
1999
ビリー・ムーア
ジョン・トンプソン
2000
モーガン・ウッテン
パット H. サミット
2001
ジョン・チェイニー
マイク・シャシェフスキー
2002
ケイ・ヨウ
ラリー・ブラウン
ルート・オルセン
2003
レオン・バルモア
2004
**ビル W. シャーマン
2005
ジム・キャルホーン
ジム・ボエイム
*スー・ガンター
2006
サンドロ・ギャンバ
ジノ・アウリーマ

*は故人
**は選手・コーチの両部門で受賞
審判
1959
*マシュー P. ケネディ
1960
*ジョージ T. ヘブロン
1961
*デビッド・トーベイ
*デビッド H. ウォルシュ
*ジョージ H. ホイット
*アーネスト C. キグレー
1977
*ジョン P. ナカトーラ
1978
*ジェイムス E. エンライト
1979
*J. ダラス・シャーリー
1982
*ロイド R. レイス
1986
*ジーグムント "R" ミハリック
1995
*アール・ストローム

*は故人
チーム
1959
初代セルティクス
1961
バッファロー・ジャーマンズ
1963
ニューヨーク・レンズ
2002
ハーレムグローブトロッターズ
コントリビューター
1959
*ジェイムス・ネイスミス
*エドワード J. ヒッコックス
*ルーサー・グリック
*ラルフ・モーガン
*オズワルド・タワー
*ハロルド G. オルセン
*アモス A. スタッグ
1960
*ヘンリー V. ポーター
1961
*ジョン J. オブライエン
*アーサー L. トレスター
*アーサー A. シャビンガー
1962
*フランク・モーゲンウェック
*リン W. セントジョン
1963
*ウィリアム A. リード
1964
*ジョン W. バン
*エドワード S. アイリッシュ
*R. ウィリアム・ジョーンズ
1965
*ウォルター A. ブラウン
*ウィリアム G. モクレイ
*ポール D. ヒンクル
1967
*クレア F. ビー
1968
*チャールズ H. テイラー
1970
*アブラハム・サパースタイン
1971
*W. R. クリフォード・ウェルズ
*エドワード・ゴットリーブ
*ロバート L. ダグラス
1972
*エルマー H. リプレー
1973
*ハリー A. フィッシャー
*モーリス・ポドロフ
1974
*エミル S. リストン
1979
*レスター・ハリソン
1980
*フェレンク・ヘップ
*J. ウォルター・ケネディ
1981
*アルバ O. デュアー
1982
*ルイス G. ウィルケ
1983
*クリフォード B. ファーガン
*エドワード S. スタイツ
1984
*センダ B. アボット
*バーサ F. ティーグ
1991
*ローレンス・フレイシャー
*ローレンス F. オブライエン
ボリスラフ・スタンコビック
1999
ウェイン・エンブリー
*フレッド・ゾルナー
2000
*ダニー・ビアソン
チャールズ・ニュートン
2003
*チック・ハーン
ミドウラーク・レモン
アール・ロイド
2004
ジェリー・コランジェロ
2005
ヒュービー・ブラウン
2006
デビッド・ギャビット
*は故人

2007年4月4日現在
上記リストは、こちらで毎年更新中です

おまけ
 Hall of Fameの2階から下りて、コートでフックシュートをした時でした。
ボールは幸いネットをくぐったのですが、通常のシュートよりバックスピンが少ないため、ゴール下まで拾いに行くことに。
そこへ、ある少年のうったシュートが外れ、私の足元に転がってきました。ボールを投げ返してあげると、少年は満面の笑みでお礼を言います・・・が、問題が。
お礼を言う表情や姿勢には、何の支障もないのですが、問題なのはその言葉です。

 「Thank you sir(ありがとう、おじさん)」
 「え?」

これまで、飛行機に搭乗している最中、年上のCAでもお客様ということで「Yes, Sir.」と言われたことはありましたが、こうした場で少年に言われると、大変こたえます。

 「No. Not Sir (いや、ちがう。Sirじゃないよ)。まだぼくは●●歳で、今日誕生日を迎えたばかりなんだ」
 「おめでとう。じゃあ、また歳をとったんだね」

少年は悪気もなく、無邪気に話します。
テクニカルファールをコールしたい審判の気持ちはこんなものか、と思いつつ次なる場所への旅路につきます。

次回、フィラデルフィア編に続きます。


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