旅行記Vol.14 フィラデルフィア
 今回は、アイバーソン選手がデンバーへ去る直前のフィラデルフィアの様子とこの街についてご紹介します。NBAファンにとっては、フィラデルフィア=76ERSですが、このチーム名の由来と、アメリカにおけるフィラデルフィアという都市の位置づけが、密接に関わっていることなども、今回の旅行記ではお伝えして行こうと思います。

 レプリソーム旅行記 Vol.14 フィラデルフィア

ロケーション
シクサーズがイーストのチームであることからも、フィラデルフィアが東海岸に存在する都市であることは、みなさんもよくご存知と思います。
ペンシルバニア州にあります。

左の画像の通り、実はフィラデルフィア―NY―NJ―ワシントンの4都市は、R95線というハイウェイ1本(水色の線)で結ばれており、かなり道のりは長いですが、車での移動も不可能ではありません。
また、フィラデルフィア〜ワシントン間の中間地点には、ボルチモアという現ウィザーズの前身、ブレッツ発祥の都市が存在します。

名前の由来
76ERS(セブンティ・シクサーズ)を略して、シクサーズと呼ばれるのが普通となったチーム名ですが、これは1776年にフィラデルフィアで、アメリカ(の13州)がイギリスからの独立宣言をしたことに由来しています。

右の写真は独立記念館です。
1749年当時、ペンシルバニアの議事堂として建設され、76年の7月4日(現・独立記念日;Independence Day)に、イギリス植民地下にあった13州の代表者が、この建物の広間に集まり独立宣言をして以来、独立記念館と呼ばれています。
また、1787年には、アメリカ合衆国憲法が制定された場所でもあり、ユネスコの世界遺産として登録されています。

NBAの歴史としては、現ゴールデンステイト・ウォリアーズ発祥の地でもあり、1961年を最後に同チームが移転した後、63年に76ERSが誕生することになります。

首都とワシントン
こちらは、アメリカ初代大統領のジョージ・ワシントンの像です。上の、独立記念館建物の前にあります。

現在のアメリカ合衆国の首都は、初代大統領の名にちなんでつけられた、ワシントンD.C.ですが、ワシントンD.C.ができる前の1790年〜1800年にかけては、フィラデルフィアがアメリカ合衆国の首都でした(厳密には、当時のワシントン市が初代大統領の名を付けられ、後の統合でワシントンD.C.となります)。

自由の鐘
独立宣言でもう1つ有名なのは、自由の鐘(Liberty Bell)です。この建物の中に飾られているのですが、入場者制限のため建物に入ることはできませんでした。

レプリカを見ましたが、高さ・断面の直径ともに1mはあると思われる巨大なベルです。形はかわいらしいですが、大きさはお寺にある鐘とそう変わりません。

本当なら・・・
そこで、屋外から最大望遠で撮影を試みてみます・・・が、どんなにがんばっても人だかりが写るだけで、自由の鐘を写すことができませんでした。
本来なら、のようなヒビの入った味のある鐘が見えるのですが・・・。

輪郭だけ・・・
何とか、かろうじて見えた鐘の輪郭を水色の点線で囲んでみました。これが、外から肉眼で見た時の確認できる限界でした。

銀行
独立宣言や憲法の他に、フィラデルフィアをアメリカ建国の都市として象徴する物があります。左の画像の建物です。

上が、アメリカで初めてできた銀行で、下が2番目にできた銀行です。ギリシアのパルテノン神殿のような造りで、独立記念館から少し離れたところにあります。
現在では、銀行としての機能はなく、当時の政治家や革命家らを飾った博物館となっています。

余談ですが、革命家のどの説明書きにも、

「アメリカが勝ち取った自由は、強制的に連れて来られた奴隷の犠牲の上に成り立っている」

と、必ず注釈が入っていることが印象深いです。

観光スポット
現在、独立記念館の周囲は整備され、アメリカでも観光スポットになっており、訪問者のためのビジターズセンターも設置されています。

道路には、中世当時を思わせる馬車や当時のデザインを再現した車による、街の遊覧があります(馬車の添乗員やドライバーは、当時の御者の格好をしています)。
日本で言うなら、法隆寺や人力車といったところでしょうか。

前置き最後
独立記念館・アメリカ初の銀行・自由の鐘といった、アメリカ建国の歴史が詰まったフィラデルフィアの中心街ですが、もう一箇所人だかりが出来ているのを発見しました。

ベンジャミン・フランクリン
みなさんは、ベンジャミン・フランクリンなる人物をご存知でしょうか。
先の独立宣言やアメリカ建国に大きく寄与した政治家であり、理系の研究者でもあります。我々のよく知る所と言えば、大凧を用いて雷が電気であることを証明した人物です。
ここは、そのフランクリンが眠るお墓です。墓標には、ペニー(1セント)が供えられています。

フィラデルフィア・スポーツ・コンプレックス
ここフィラデルフィアでは、クリーブランドや大学のスポーツ競技場のように、バスケット・ベースボールなどの各競技場が一同に会しており、複合体(complex)を形成しているため、フィラデルフィア・スポーツ・コンプレックスと呼ばれています(ワコビア・コンプレックスとも呼ばれるようです)。

ここには、
ワコビア・センター(フライヤーズ:NHL・シクサーズ:NBA)
シチズンズ・バンク・パーク (フィリーズ:MLB)
リンカーン・フィナンシャル・フィールド(イーグルス:NFL)

 のアメリカ4大スポーツの競技場が結集しています。

ワコビアの施設
ワコビアのスポーツ施設は、ラクロスなど4大スポーツ以外の用途でも使用されています。
たとえば、ワコビア・センターの場合、左の画像の通り、76ERS・NHLのフライヤーズ・ファントムス(ホッケー)の3チームが使用しており、そのほかにも、レイ・チャールズのコンサート、ウォルトディズニー・オン・アイスなどでも使用されました。

ちなみに、あまり耳慣れない「Wachovia」と書いて、ワコビアと読むこの名前は、ノースカロライナを本拠地とする銀行の名前です。フィラデルフィアのあちこちで、この名前を目にしますが、シクサーズの他に、NBAへの寄与として、ロケッツ・ボブキャッツ・スパーズのスポンサーも務めているとのことです。

数年前、写真のワコビアセンターは「ファースト・ユニオンセンター」という名前でしたが、このファーストユニオンという名前も銀行名で、合併によりワコビアの名になりました。それに伴ない、このアリーナもワコビアセンターになったと言われています。

スペクトラム
通りをはさんで、ワコビア・センターの向かいに見えます、こちらは、1995年までシクサーズやフライヤーズが使用していた、ワコビア・スペクトラムです。Dr.J率いるシクサーズは、ここでプレーしていたことになります。

現在、ここはKiXXというサッカーチームが、今もなお利用していますが、かつては第20回・26回のNBAオールスター、第29回NHLオールスター、81年NCAAファイナル4(インディアナ対ノースカロライナ大学)、プレスリーのコンサートが行なわれた場所でもあります。

チェンバレン像
ワコビア・センターの周りを歩いていると、懐かしい選手の像を見つけました。故ウィルト・チェンバレン選手の像です。
チェンバレン選手といえば、100点ゲームの他に思いつくのは背番号「13」。

キリスト教では不吉とされる番号ですが、13の州の代表者がこのフィラデルフィアに集って独立宣言し、この地でプロリーグ入りした、故ウィルト・チェンバレン選手の背番号が「13」でした。憶測の域を越えませんが、単なる偶然ではないと感じられました。

レンガの床
さらにワコビア・センターの周りの道を歩いていると、所々に色の異なる箇所を発見。計36個のレンガで出来ています。
レンガには、ここを訪れた、もしくは寄付金などを出資したと思われる方の名前が、ペイントされています。
アメリカでは、しばしば見られる風習です。

タワー?
このアリーナへは、2002年・2004年にも訪れましたが、このシンボリックなタワー(?)は、当時からありました。
下でご紹介しますが、右の写真のようにチームを掲載した物以外にも、選手を掲載したものがありますが、マイアミやクリーブランドのようにバナー形式でないのは、フィラデルフィア独特のように感じられます。

クリス・ウェバー
後に、ピストンズへ移籍となるクリス・ウェバー選手です。
シュート、パスなど、大きな選手にしてはとても器用な選手です。
ジェイソン・ウィリアムス選手と一緒にキングスでプレーし、日本へもジャパンゲームで来ていた頃が懐かしいですが、その選手ももうベテランの域の年齢になりました。
なんとかチャンピオンリングを獲得してもらいたいです。

アンドレ・イグドラ
アリソナ大学出身のイグドラ選手。
出身大学が出身大学だけに、得点力のあるガードの選手です。
これからのシクサーズを牽引していく若き選手です。

カイル・コーバー
アイバーソン選手がいたこの当時は、イグドラ選手に続く3番手以降に甘んじていた感がありましたが、これからは遺憾なくその力を発揮してもらいたいと思います。

昔の面々
逆光で大変見づらいですが、夜撮影するとアニメータ2枚目の画像のように見えます。
現在、TVの解説者やドウェイン・ウェイド選手と共演するCMでも活躍中のチャールズ・バークレー氏、また現シクサーズHCである、モーリス・チークス氏の選手時代の姿も見えます(背番号10)。

アレン・アイバーソン
近年、「シクサーズと言えば、アレン・アイバーソン」でしたが、そのアイバーソン選手も30歳を越え、新天地デンバーへ。
シクサーズでファイナルまで行きながら優勝まで手が届かなかったのは、非常に残念でしたが、これからもカーメロ・アンソニーを始めとする、ナゲッツの面々とリーグを盛り上げ、優勝を目指してがんばってほしいと思います。

おわりに
今回は、このアリーナを2度訪れることになりました。
1度目に訪れると、「再入荷するのは3日後だから、また出直してほしい」と言われ、再び訪れると「アイバーソン関連の商品入荷は中止になった」と言われました。
思えば、この頃から移籍する可能性が色濃く示唆されていたのかも知れません。

トレード後、新たにアンドレ・ミラー選手らを迎え、後半復調の兆しを見せ始めたシクサーズ。Dr.J→C.バークレー→アイバーソンと、その時代時代で、エースを擁して勝ち上がってきました。これからも、新たな面々が率いたシクサーズの活躍を、またプレイオフで見られることを願いたいと思います。
おまけ
 独立記念館ならびに自由の鐘を見ようと思いましたが、人数制限のため入館・閲覧はなりませんでした。
そんな中、独立記念館をあとにしようとした時、記念館に入るべく並んでいる女の子の手から、入場料の1ドル紙幣がこぼれ、車道そばにいた私の足元に落ちてきました。
それを拾って渡してあげると、やはりここでも
 「Thank you sir(ありがとう、おじさん)」。
・・・・・・気を取り直して、シクサーズのアリーナワコビアセンターに向かいます。

 2002年・2004年にも訪れましたシクサーズのアリーナ、ワコビアセンター。
ワコビア・コンプレックスにて、4大スポーツの他に様々な競技が行なわれていることからも、フィラデルフィアではスポーツがさかんであることが、おわかりいただけるかと思います。
グッズもこの風潮の例外ではなく、巷には4大スポーツ以外の物も多数あるため、どうしてもアイバーソン選手のグッズが、そうしたグッズに埋もれがち、希釈されがちです。
そこで、本拠地であるアリーナでは種々のグッズを取り扱っているため、買い付けの際には重用していました。

 かつて、ここで危うく余計なお金を支払いそうになったことがあります。
ユナイテッドセンターもそうですが、ワコビアセンターでも試合のある日は、試合開始の何時間か前になると、観戦しなくても駐車料金を支払わなければいけないことになっています。
半面、ゲームのない日や時間帯はその必要がありません。
それを駐車場の入り口で確認をし、車を停めて、アリナー内へ立ち入ろうとした時でした。
不意に背中から声をかけられました。

 「Hey you(おい、アンタ)」
 「はい?」
 「アリーナに行くんだろ?」
 「ええ、そうですが?」
 「10ドルだよ」
 「え?」

駐車場の入り口で聞いたことと話が違います。
ですが、初めてワコビアセンターに来たことと、当時は、まだ試合のない時間帯にアリーナへ入っていいか・否かが、ワコビアセンター内で統一されていなかったらしく、ある人に訊くとOK、また別の人に訊くとNG、とケース・バイ・ケースだったため、お金を要求されて不審に思いながらも、自信もって拒むことができませんでした。

 「駐車場の入り口で、この時間帯は必要ないと聞きましたが?」
 「いや、アリーナに入るのなら必要だよ」
 「え?試合の時刻になってないのに?」
 「いいから払いなって」

少しおかしいです。
聞いたことと合致しないこともありますが、先ほど駐車場の入り口で会った係員と服装が違うことに気がつきました。
駐車場の係員は、ベージュのポロシャツにブラウンのパンツ姿なのに、目の前の人物はNBAのキャップとスタジアムジャンパーで、よく見ると薄汚れています。
勇気を出して

 「アリーナの方ですよね?」
 「払うのかい?」
 「いえ、ID(身分証)を拝見できますか?」
 「ここを通るには、10ドル必要だ」
 「・・・・・・本当に10ドルだけ?」
 「そうだよ」
 「本当は5ドルなのに、10ドルって言ってない?」
 「本当に10ドル」
 「じゃあ、アリーナの中の係員に、本当に10ドルか尋ねて、値段を確かめてきます」

そういうと、向こうも何か勘付いたらしく、「Go Straghit! Go Straghit!」と叫んで、腕を振って、「向こうへ行け」のゼスチャーをしながら、どこかへ立ち去って行きました。結局、彼は係員ではなく、アリーナにたむろしている方で、ノースカロライナ出会った老人と同じことをしているのでした。
これが2002年のことで、その2年後である2004年にも彼に再会し、また同じことを経験しました。
そして、2006年。
まさかもういないだろう、と思ってアリーナ入り口まで行くと・・・そのまさか。
・・・いました。
やはり相変わらず、キャップにスタジャン姿で同じことをしています。

 「ちょっとキミ、ここを・・・・・・」
 「10ドル必要なんでしょ?あなたに会うの、これで3度目です」
 「そ、そうなのか・・・」
 「あれからずっと、同じことしてるんですか?」
 「いや、オレも色々変わったよ」
 「へぇ、例えば?」
 「見ろよ、NBAからMLBファンになったんだ!!」
と言って、満面の笑みで着ているシカゴ・カブスのスタジャンとキャップを指差しました。

 「あ・・・そう」

この一言以外浮かんできませんでした。