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レプリソーム旅行記 Vol.19 UNC
バスケットボールミュージアム

D.スミスセンターを模して
薄暗かったショーケースのコーナーを抜けると、このミュージアム最後の展示場にたどり着きます。

フローリングの床と、画像中の左にわずかに見える、スカイブルー地の「ACC」の文字から察せられます通り、ここの床はディーン・スミスセンターのコートを模して作られています。

他にも、ここには色々な仕掛けを凝らしたコンテンツがあります。

ここでは・・・
これまでは、「チームが残した記録や歴史について」でしたが、この展示場では、画像の上部ような大掛かりな物と、下部に見える小さな物の展示がなされており、特に「●●選手のコーナー」と、特定の選手にスポットライトを当てた展示がなされています。

Tyler Hansbrough
画像は、タイラー・ハンズブロー選手のものです。
やはり最も最近に永久欠番に選ばれただけあってか、入り口のいの一番に展示されており、中には、同選手が個人受賞したトロフィーが数多く納められています。

Ring & Shoes
画像は、2009年の優勝リングとハンズブロー選手が使用していたシューズです。

通算得点記録の更新
画像のボールは、ハンズブロー選手がフィル・フォード選手の持つ、キャリア通算得点記録を超えた試合のボールです(最終結果:2872得点)。

同選手は、その他にもキャリア通算で、フリースロー成功数1位(982:NCAA記録)、リバウンド数(1219)、スティール部門で10位と、数々の記録保持者でもあります。

在籍年数が4年だったことから、通算記録保持者になれて当然のようにも思われますが、1シーズンの得点-リバウンド平均が、ダブルダブル(07-08)であったり、1シーズンあたりの得点記録が同大学2位(07-08)などの記録から、収納されているトロフィーの数にも納得がいきます。

Phil Ford
こちらは、フィル・フォード選手に関する物を納めた、別のショーケースです。
同選手に関する物を納めているのは、ハンズブロー選手と同じですが、このショーケースの特徴をご説明したいと思います。

ショーケースの仕掛け
ケース裏面には画像の通り、液晶画面とスピーカーそしてセンサーが設置されており、近づくとセンサーが感知して、動画と音声による選手の紹介(功績や活躍)が始まります。

ハンズブロー選手やフォード選手のように、個別の設置がなされた選手のショーケースには、共通してこの仕掛けが設けられています。

Academic All America
ハンズブロー選手のショーケースから壁づたいに歩くと、この展示場の角まで来ます。茶色いトビラの向こうは、関係者以外は立ち入り禁止です。

壁には、この大学のアーガイル(ひし形)や観客・選手の姿があしらわれ、アカデミック・オール アメリカの選手らを紹介しています。

Academic All America
  1965年 ビリー・カニングハム
  1970年 チャールズ・スコット
  1972年 スティーブ・プレビス
  1972年 デニス・ウィシック
  1972年 キム・ヒューバンド(3rd チーム)
  1975年 ブラッド・ホフマン
  1975年 エド・スタール
  1975年,1976年 トミー・ラガーデ
  1976年 ブルース・バックレー(2nd チーム)
  1986年 スティーブ・ヘイル
  1993年 ヘンリック・ロドル(3rd チーム)
  1994年 エリック・モントロス

Academic Emphasis
Academic Emphasis と銘打った箇所に、以下のような文章が書かれています。

「TVを観ていた世界中の人々は、2005年のノースカロライナ大学がイリノイ大学に勝利して優勝したことを観ました。
一方で、あまり知られていませんが、同年に別のタイトルを手にしました。
雑誌 TIME によると、 Sweet 16 に参加したチームの中で、最も卒業率が高く、ディーン・スミス監督・ロイ・ウィリアムス監督の教え子達の96%が、きちんと卒業、または学位を取得しました」

アメリカの大学では、日本よりもスポーツも学問もできる文武両道が求められると言われていますが、学生にとって大変なことであるのは変わらないようです。

Michael Jordan
上の、アカデミック・オールアメリカのコーナーの角から、更に壁づたいに歩くと、マイケル・ジョーダン選手のショーケースがあります。
このケースにも、液晶モニタとスピーカーがついており、ジョーダン選手を動画にて紹介しています。

Award
ショーケースの中身、個人受賞したプラーク・トロフィーをご紹介。
 1982年 All Time Final 4 Team: USA Today
 1983年 All ACC
 1984年 Wooden Award
 1984年 Eastman Award

3年間の在籍でしたが、受賞した内容・数からも改めて偉大な選手ということがわかります。

NIKE と Converse
「Jordan 82 NCAA Champs」とスカイブルーの文字が入ったシューズ。特に説明はありませんが、使用感やその当時のものと考えられる汚れがあることから、1982年にジョーダン選手が着用していたものと思われます。

今では、NIKE社とジョーダン選手は、切っても切れない関係にありますが、学生当時はコンバースのシューズを着用し、プロになってからシグネチャーモデルを販売するときも、ご当人はコンバースか adidas を希望していたと言われています。

NBAのメモラビリア
この大学の物の他に、NBAでのメモラビリア(ブルズのウォームアップジャケット、NBAオールスターMVPトロフィー)と、ドリームチームのジャージも飾られています。

エアジョーダンやジョーダンブランドをはじめとして、その活躍で、NBAを世界規模で周知させたのが、改めてこの選手の功績のように思います。

DUKE大からの手紙
数々のメモラビリアの中、気になるものを発見しました。
ドリームチームのジャージ前に、内側から貼られている紙です。ここはノースカロライナ大なのに、なぜかDUKE大のロゴマークが入っています。
内容を見ると、1980年の10月29日にジョーダン青年に宛てられた手紙です。意訳しますと

「親愛なるマイクへ
 君が、DUKE大で学ぶことに気が進まないと聞いて、とても残念に思っています。
しかし、私そして我々スタッフが、大学で君に最高のキャリアを築いてほしいと思っていることを知ってもらいたい。
君は、とても素晴らしく有望な若者で、カレッジバスケットボールキャリアで望むものをすぐに手にできるはずだ。

マイク・シャシェフスキー」

つまり、当時のジョーダン青年をDUKE大学にスカウトするコーチKからの手紙です。一見、ただの紙切れのように思われましたが、舞台の裏を垣間見るような、ある意味レアな物です。

窓に
画像は、このミュージアムの窓です。ジョーダン選手のショーケース前の窓になります。

教会のステンドグラスのように、ジョーダン選手の写真が映し出されていますが、ダンクの時に舌を出すのは、この頃からすでに定着していたようです。

モニュメント
ジョーダン選手のショーケースから少し離れたところには、こんなモニュメントがあります。
写っているのは、シュートをしているビンス・カーター選手です。

NBAで優勝した時に授与される、ラリー・オブライエントロフィーの下側によく似ていること、足元の手すりがゴールのネットのようになっていることから、バスケットゴールのネットを模したものと思われます。
ここにも、ITを駆使した仕掛けがあります。

Relive
上の画像をよく見ていただくと、モニュメント下部には、それを取り囲むような金属のフレームが設置されており、そして、そのフレームには、画像のようなモニタとスピーカーの設備がつけられています。

画面には、古めかしいラジオと「Relive Great Moments in Tar Heels (このモニタでターヒールズの活躍を追体験できます)」のメッセージが映し出され、アナログとデジタルの融合?のような造りになっています。
モニタは、タッチパネルになっており、見たい年代を選ぶことができます(ここでは1982年を選択)。
すると音声と動画で、その当時の様子を伝えてくれます。

永久欠番
上のコーナーのすぐそばには、画像のようなウィンドケースがあります。主に永久欠番に選ばれた選手を、着用していたショーツやウェア等を展示することによって紹介しています。

中を見てみます。

永久欠番の面々
画像のように、背番号の入ったジャージのイラストや当時の写真、そしてそれらの下には受賞した賞、秀逸な記録を一覧にして各選手を掲載しています。

2010年12月現在で永久欠番に選ばれている選手です。
 #なし ジャック・コブ
 #20  ジョージ・グラマック
 #10  レニー・ローゼンブルース
 #12  フィル・フォード
 #52  ジェイムス・ウォージー
 #23  マイケル・ジョーダン
 #33  アントワン・ジェミソン
 #50  タイラー・ハンズブロー

Retired Jersey
以下のメディア、権威ある賞からの National Player of the Year を受賞すると、この永久欠番に選ばれ、ディーン・スミスセンターに Retired Jersey としてジャージが飾られることになります(最前列の青地のボード)。

 Associated Press
 NABC
 USBWA
 The Sporting News
 Wooden Award
 Naismith Award

2010-11 Basketball Carolina(シーズンガイド) P90から引用

この他に、 Sports Illustrated からジェリー・スタックハウス選手(1995年)、ショーン・メイ選手(2005年)が、 Basketball Times からケニー・スミス選手(1987年)が、 National Players of the Year に選ばれています。

ACC 50th Anniversary Team
画像は、このケース内側に貼られているもので、
ACC 50th Anniversary Men's Basketball Team に、レニー・ローゼンブルース選手が選ばれたことを証明する認定書です。
2002年をもって50周年を迎えた Atlantic Coast Cnference ですが、NBAの Best 50 のように、このカンファレンスで優秀な選手を50名選抜し、ノースカロライナ大学ではローゼンブルース選手を含む、計12名の選手が受賞しました。

ACC 50th Anniversary Men's Basketball Team

ノースカロライナ大学
1.レニー・ローゼンブルス
2.ビリー・カニングハム
3.ラリー・ミラー
4.チャールズ・スコット
5.ボビー・ジョーンズ
6.ウォルター・デイビス
7.フィル・フォード
8.ジェイムス・ウォージー
9.サム・パーキンス
10.マイケル・ジョーダン
11.ブラッド・ドアティ
12.アントワン・ジェミソン

DUKE大学
13.アート・ヘイマン
14.ジェフ・マリンズ
15.マイク・グミンスキー
16.ジョニー・ドーキンス
17.ダニー・フェリー
18.クリスチャン・レイトナー
19.ボビー・ハーリー
20.グラント・ヒル
21.エルトン・ブランド
22.シェーン・バティエ
23.ジェイソン・ウィリアムス

メリーランド大学
24.レン・エルモア
25.トム・マクミレン
26.ジョン・ルーカス
27.アルバート・キング
28.ジョー・スミス
29.レン・バイアス
30.バック・ウィリアムス
31.ジュワン・ディクソン

ウェイクフォレスト大学
32.ディッキーヘムリック
33.レン・チャペル
34.チャールズ・デイビス
35.ランドルフ・チルドレス
36.ティム・ダンカン

ジョージア工科大学
37.マーク・プライス
40.マット・ハープリング
38.デニス・スコット
39.ケニー・アンダーソン

ノースカロライナ州立大学
41.ロン・シャフリック
43.デビッド・トンプソン
42.トム・バーレソン
44.ロドニー・モンロー

ヴァージニア大学
45.バリー・パークヒル
46.ジェフ・ランプ
47.ラルフ・サンプソン

クレムソン大学
48.ウェイン・ロリンズ
49.ホーレス・グラント

サウスカロライナ大学
50.ジョン・ロック

Green Bag
画像のバッグ、実態はスカイブルーのバッグですが、「グリーン・バッグ」と呼ばれる物です。かなり大きく、7号のバスケットボール6つは入りそうな大きさです。

説明によると、中には医療用品と、遠征の際に必要な物が諸々が入れられるとあり、これを持つのが新人の仕事とあります。

「 Green 」という言葉には、緑色・青信号(準備OK)という意味の他に、「未熟の・青二才の」という意味があります。このバッグの場合、新人が持つ、ということを考えると、グリーンバッグの意味は、「新人のお仕事用バッグ」ということのようです。
ちょっと、アメリカバスケットボールのタテ社会を垣間見た気がします。

Woody Durham
永久欠番のコーナー裏側に回りますと、同じショーケース内には、画像のようなボールが飾られています。

これは、ウッディ・ダーラム氏宛てに、ディーン・スミス監督から贈られた記念ボールです。
同氏は、レイカーズに例えるなら、故 チック・ハーン氏のような存在で、ノースカロライナ大・ターヒールズの試合をラジオ実況で届けてきました。
その1000回目の放送を記念して贈られたボールです。
2001年11月16日のハンプトン大との対戦でのことです。

Woody Durham 2
また、説明は特にありませんが、同氏が使っていたと思われるヘッドフォンと、インタビューの様子を捉えた写真が展示されています。

As Time Expires
こちらのケースは、永久欠番コーナーのお向かいにあります。
「As Time Expires」、訳すと「終了の時」とでもいうべきタイトルですが、試合終了時の人々、つまりブザービーターを決めて勝利を飾った選手を、彼らのメモラビリアを飾って紹介しています。

ケースに貼られたスカイブルーのラベルには、古くはピート・ブレナン選手、最近ではハンズブロー選手のブザービーターで勝利した試合など、計19試合分がリストアップされています。

Jerry
その中で目につくこのウェアは、ジェリー・スタックハウス選手の物です。デニム生地のシャツのように見えますが、ウォームアップジャケットです。向かって右側に、「Jerry」の刺繍が施されております。ご本人提供による展示です。

説明によると、1994年のACC トーナメント・セミファイナル、ウェイクフォレスト大戦で、同選手が残り4秒で得点し、試合に勝利したとあります。

Sports Illustrated
ちょうどここで、入り口から対角の角っこまで来たことになりますが、ここの天井は、このようになっています。

これまでに、ターヒールズが飾ってきた、 Sports Illustrated の表紙が天井に飾られています。
マイケル・ジョーダン選手をはじめ、モントロス選手、スタックハウス選手、ヴィンス・カーター選手、ハンスブロー選手など歴代メンバーが、どれだけ活躍してきたか物語っています。

さらに別の天井には・・・
こちらは別の場所の天井です。
チームを応援し、会場を盛り上げるチアリーダー、ちょっとシュールな羊のマスコット、そして気合が入り過ぎているかのようにも見える、自らの体にペインティングをほどこしたファンの方々がバナーとなって飾られています。

さらに別の天井には・・・ 2
これはNBAでもお馴染み、スコアボードです。
もちろん大きさはミニチュアです。

床には
飾りつけが施されているのは、天井だけではありません。
床にもこんな仕掛けがあります。
床の一部がくり抜かれ、その中にはウォルター・デイビス選手のジャージが納められ、同選手が1974年の3月2日の DUKE大学との試合で、23フィートのシュートを決め、オーバータイムでターヒールズを勝利に導いた、と紹介が書かれています。

こちらにも
もう1つこちらは、レイモンド・フェルトン選手のシューズです。
ここでは、2005年4月4日のイリノイ大戦での活躍が記されています。

この理由
こうしたシューズが専用のショーケース内に納められず、このような形で展示がなされているのには、理由があります。

冒頭でお伝えしました通り、この展示場はディーン・スミスセンターのコートを模して作られています。
そこでは、かつて色々なノースカロライナ大学の選手が活躍を見せた場でもあることから、ある試合で勝利を決定づけたシュートをした場所、華麗なプレーを見せた場所に、こうしたシューズやジャージを納めて、かつてのプレーを賞賛しています。

場所や選手によっては、上のようなメモラビリアを展示するのではなく、その選手の足型と丸いマークが付けられているだけの物もあります。

Frank McGuire
戻りまして、こちらは永久欠番コーナーの裏手です。
ノースカロライナ大のHCというと、真っ先に浮かぶのは、ディーン・スミスHC、ロイ・ウィリアムスHCではないかと思いますが、故 フランク・マクガイア氏も同大学のHCでした。
画像は、同氏を紹介したコーナーです。
もとは、セントジョンズ大学の出身で、 American Basketball League でプレーした経験もあり、のちに同大学で監督として、バスケットボールチームを Final 4 へ、ベースボールチームをカレッジ・ワールドシリーズへと導きます。
その後、ノースカロライナ大学のHCとなり、1957年に、故 ウィルト・チェンバレン選手を擁するカンザス大と1点差の試合をして、トリプルオーバータイムの末、ノースカロライナ大学をNCAAで初優勝させました。
また、NBAでのコーチ歴があり、奇しくもフィラデルフィアで最後のシーズンを送っていたウォリアーズと、チェンバレン選手を監督することになりました。

Your Carolina Tar Heels
画像は、そのマクガイア氏のコーナー隣に写る機械ですが、選んだ歴代のチーム・人物について、動画と音声で紹介するというものです。

最初の画面で、観たいチーム・プレイヤー・コーチ、を選べるようになっており、ここでは、選手を選びます(ポジションごと、アルファベット順、永久欠番などの受賞カテゴリーでも、選手を選べます)。更に選手の中から、ラシード・ウォレス選手を選択します。

写真とシーズンごとの平均スタッツが表示され、シーズン中のハイライトも見せてくれます。

Your Carolina Tar Heels 2
やはりこの選手を見ないわけにはいきません。マイケル・ジョーダン選手です。NBAの初期にしか見られなかった、線の細い体が当時を思わせます。

All America
フランク・マクガイア氏のコーナーそばの壁には、オールアメリカに選ばれたノースカロライナ大学の選手を紹介しています。

これまでに選ばれた選手は以下の通りです。

All America

カートライト・カーマイケル
ジャック・コブ
ジョージ・グラマック
ジム・ジョーダン
ジョン・ディロン
レニー・ローゼンブルース
トミー・カーンズ
ピート・ブレナン
リー・シェイファー
ヨーク・レイルス
ダグ・モー
ビリー・カニングハム
ボブ・ルイス
ラリー・ミラー
チャールズ・スコット
ビル・チェンバレン
ボブ・マッカドゥ

デニス・ウィシック
ボビー・ジョーンズ
ミッチ・カプチャック
フィル・フォード
トミー・ラガーデ
マイク・オコーレン
アル・ウッド
ジェイムス・ウォージー
サム・パーキンス
マイケル・ジョーダン
ブラッド・ドアティ
ケニー・スミス
J.R.リード
リック・フォックス
エリック・モントロス
ジョージ・リンチ

デリック・フェルプス
ジェリー・スタックハウス
ラシード・ウォレス
アントワン・ジェミソン
ビンス・カーター
シャモンド・ウィリアムス
エド・コタ
アデモラ・オクラージャ
ブレンダン・ヘイウッド
ジョセフ・フォルテ
ショーン・メイ
ラシャド・マッキャンツ
レイモンド・フェルトン
タイラー・ハンズブロー
ウェイン・エリントン
タイ・ローソン

2010-11 Basketball Carolina(シーズンガイド) P172-173から引用

Dean Smith Innovations
窓に沿って歩くと、このようなコーナーが現れます。
Dean Smith Innovations 、つまりディーン・スミス監督が考案したものについて書かれています。

Point Zone
このように、円筒状のオブジェには、 Point Zone について具体的に戦術パターンが書かれていますが・・・その前に、ここはベンチのようにも見えますが、座ってもいい場所なのでしょうか?。

Roy Williams
ロイ・ウィリアムス現HCのコーナーです。
2003-04 シーズンからヘッドコーチを引き継いで、2010年までに2度の優勝を成し遂げただけあって、現役ながらすでにこうした待遇になっています。

Shooters
この展示場の面白い特徴として、永久欠番などに選ばれた特定の個人だけでなく、こうした「 Shooters 」というカテゴリーによる展示も行なわれていることです。
先ほどのスタックハウス選手のウォームアップジャケットと同じ物が飾られていますが、これはドナルド・ウィリアムス選手(Honored Jersey #21)の物です。
その隣のポロシャツのようなデザインの物は、ヨーク・レイルス(Honored Jersey #22)選手のジャケットです。
また、特に説明はありませんが、その背後にある#40のジャージは、Vネックデザインであることからも、ジョセフ・フォルテ選手の物と思われます。
こうした、ノースカロライナ大学でシューターとして活躍した選手の品々が飾られています。

Global Impact
こちらはタイトルの通り、ノースカロライナ大学出身の選手が世界に与えた衝撃について展示されています。
#8のジャージは、ボビージョーンズ選手(Honored Jersey #34)のオリンピックジャージです。
その他、シドニー五輪でカーター選手が披露した、人間越えダンクの写真、やはりジョーダン選手に関する書籍などが山積みになって展示されています。
また、メーカーの商品にも関わらず、歴代のエアジョーダンの紹介まで展示されています(#8ジャージ右下の黒いパネル)。

Point Guards
こちらは、歴代の優秀だったポイントガードの選手を展示したものです。#2のレイモンド・フェルトン選手(Honored Jersey)のジャージが見えます。

その下に見える、今では考えられないほど短い丈のショーツは、ケニー・スミス選手のものです。現在は、アナリストとしてTVでその姿を見ます。

Scorers
こちらはスコアラー、試合で大量得点する選手を展示したもので、ここでも大きく飾られるのは、ジェリー・スタックハウス選手。
同選手の当時の写真、1994-95シーズンに着用していたウォームアップジャケットが飾られています。

Dean Smith
こちらはディーン・スミス監督のコーナーです。
このホールの中心部にあります。

スミス監督のコーナーは・・・
スミス監督のコーナーは、Award と Accomplishments の2つに分けて展示されています。

Sportsman of the Yearの逸話
こちらは、Award の側です。
右前の四角い透明なトロフィーは、2007年に FIBA Hall of Fame に選ばれた時のもので、その後方に写るグラス様のトロフィーは、UCLAの元HC 故 ジョン・ウッデン氏と共に、The two best college basketball coaches of all time に選ばれた際のトロフィーです。

左のツボのような物は、1997年に Sports Illustrated 社の Sportsman of the Year に選ばれた時に贈られたものですが、これについてちょっとした逸話があります。

このミュージアム建設の話が持ち上がった当時、スミス監督は寄贈する品の中に、このトロフィーもリストアップしました。ところが、スタッフが同監督から受け取った物の中に、このトロフィーが入っていないことが発覚します。
結局、ミュージアムオープン間近になって、トロフィーはスミス監督宅から見つかるのですが、見つかったのは、なんとTVキャビネットの裏からでした。スポーツをしている人なら、誰でも欲しがるこの賞ですが、スミス夫妻は長年、ただのツボと思い込んで放ったらかしにしていたとあります。

877
こちらは、Accomplishments の側です。
877と書かれた紙が貼られたボール、そして背番号部が877となっているジャージ。
いずれも、スミス監督が1997年3月15日(土)のコロラド大戦(73-56)で、877勝目を挙げたのを記念したものです(最終成績 879-254:77.6% 史上3番目の勝利数)。
ボールには、96-97シーズンのターヒールズメンバー全員のサインが入っています。

プロジェクター
こちらはスミス監督が使用していた、フィルムプロジェクター(映写機)です。
現在では、DVDやVTRをテレビモニタで視聴することが普通ですが、当時の時代を思わせます。

初めての試合
このノートのような物は、スミス監督がヘッドコーチとして初めて臨んだ試合のスコアブックです。
1961年12月2日のヴァージニア大との試合で、80-46で勝利したとあります。

Smith's Rings
Championship Rings と書かれたこのコーナーは、スミス監督が選んだ5つの受賞リングです。
左から、
 1952年 NCAA優勝
  
(カンザス大選手として)

 1976年 モントリオール五輪
  
(ヘッドコーチとして)

 1991年 シカゴ・ブルズ優勝
  
(マイケル・ジョーダン寄贈)

 1993年 NCAA優勝
  
(ノースカロライナ大HCとして)

 1997年 NCAA Final 4
  
(同上)

特に説明はありませんが、自身が選手としてカンザス大で獲得した物、教え子で最も大成した選手の初めてのNBA優勝リング、スミス監督にとって最後のシーズンの物など、監督にとって思い出深いシーズンベスト5のリングということなのでしょう。

最後のコンテンツ
もうそろそろ出口が近づいて来ました。この展示場の最後のコンテンツです。

Draft Board
茶色い大きな板は、NBAドラフトでも目にするような、ドラフトボードですが、ここには、歴代の1巡目指名を受けた選手がリストアップされ、更に、どのチームが・1巡目の何番で指名したか掲載されています。

80年代は、NBAに個性豊かな選手が多く登場した時代でしたが、下記の通り、大学からも多くの人材が輩出され、1巡目指名を受けた選手の数が一番多かったのは、ノースカロライナ大学とあります。( )内は、その数です。

1980年以降で1巡目指名された大学順位
 1.ノースカロライナ(29)
 2.DUKE(22)
 3.ケンタッキー(21)
 4.アリゾナ(16)
 5.コネチカット(15)

2010-11 Basketball Carolina(シーズンガイド) P150から引用

97名
同じドラフトボードの左上です。
「97」という数字が見えますが、2010年までにNBAドラフトを受けた選手が97名いることを意味しています。

先ほどは、1980年以降で1巡目ドラフト選手が最も多かった大学は、ノースカロライナ大学ということでしたが、過去の全体では97名のうち、40名が1巡目指名されています。

2010-11 Basketball Carolina(シーズンガイド) P150から引用

NBA from North Carolina
こちらは、ドラフトボードの足下にあるショーケースです。中には、この大学出身でNBAで活躍する・した選手のジャージ数着とシューズが一足収納されています。

 ネッツ:ビンス・カーター
 シクサーズ・ブラック:ジョージ・リンチ
 シクサーズ・レッド:ボビー・ジョーンズ
 ウィザーズ・ホーム:アントワン・ジェミソン
 ボブキャッツ:ショーン・メイ
 ホークス:マービン・ウィリアムス
 シューズ:ビンス・カーター

過去44回のNBA優勝を振り返ると、ノースカロライナ大学出身の選手(28名)・HC(2名)・アシスタントコーチ(3名)・GM(1名)・アシスタントGM(1名)・ビデオコントリビューター(1名)など関係者として計41回の優勝を経験しています。

2010-11 Basketball Carolina(シーズンガイド) P151から引用
 ※本文では41メンバー(重複を含む)で44回優勝と表記。

Hall of Fame
こちらは、 Hall of Fame に選ばれた選手と監督達のコーナーです。主に写真が飾られています。
2010年時点で、以下のノースカロライナ大学の選手・監督が受賞しています。

選手
 1986年 ビリー・カニングハム
 2000年 ボブ・マッカドゥー
 2003年 ジェイムス・ウォージー
 2009年 マイケル・ジョーダン

監督
 1970年 バーナード・カーネベール
 1977年 フランク・マクガイア
 1983年 ディーン・スミス
 2002年 ラリー・ブラウン
 2007年 ロイ・ウィリアムス

最後の展示物
このミュージアム、最後の展示物です。
大きなNCのロゴマークと、2000の文字が背番号の位置に入ったジャージが飾られています。

ジャージの「2000」意味は、これまでの歴代ターヒールズが、NCAAで勝ち取ってきた勝利の数です(2010年現在も更新中)。この数字は、ケンタッキー大学に次ぐ、最多の数です。

NCのロゴは、単なるモニュメントではなく、そこにはこれまでターヒールズでプレーした選手、ディーン・スミス監督やロイ・ウィリアムス監督のサインが入っています。

ゲストブック
画像のノートは、このミュージアムを訪れてのゲストブックです。ノート本体は白でも、やはり文字はカロライナブルー、偶然なのか、備え付けのペンから出てくるインクも青色です。
ゲストブックの紙面を見ると、書いた方の名前・住所に加え、メッセージが書かれています。
 Go! Tar Heels! がんばれ!ターヒールズ
 Great Experience 素晴らしい経験ありがとう
 Fantasitc 素敵です

私も、
 It's nice and dream. 素晴らしい。夢のようです。
と書かせていただきました。

これまで、多くのカレッジ・NBAスターを輩出してきた、ノースカロライナ大学(チャペルヒル校)。
色々な世代の人から支持・応援されてきたのは、長きに渡ってカレッジとNBAのスター選手を輩出してきたこと、個々のプレーヤーを個性的で身体能力が高いだけでなく、きちんとチームプレーも理解したバスケットボール選手に育て上げていることに起因しているのかも知れません。

おまけ
 ここ数年で、色々と情勢の変わる世界ですが、今季(2010-11シーズン)は、NBAグッズの世界にも少し変化が起きました。
オバマ大統領がエコを掲げているためか、それまで「好きなだけ持って行って」と言わんばかりに配布されていた、オールスター投票用紙やシーズンスケジュール表が、巷から姿を消してしまいました(それでも配布をやめたのではなく、アリーナでチケットを購入した方のみに進呈など、かなり限定して配布されていました)。
1月から当サイトで、お配りしているノースカロライナ大学のスケージュール表は、実はこのミュージアムからいただいた物です。

<スケジュール表>

 取材の当日、大学敷地内でこの博物館をなかなか発見することができなかったため、予定していた時刻よりも2時間近く遅れての開始となりました。これが原因で閉館ギリギリまでの取材となってしまい、スタッフの方に退室を促されるまで写真撮影。
撮影していると年輩の女性スタッフから声をかけられます。

 「ちょっと、あなた」
 「あ、はい」
 「もうそろそろ閉館だから、出てちょうだい」
 「あ・・・はい。あの実は・・・」

と、自分が日本でNBAやカレッジバスケットボールの仕事をしていることを話し、あと数枚の撮影許可をいただきました。

 撮影後、そのスタッフの彼女とNCAAのこと等を話しながら歩いていると、ちょっと困ったことが起きます。
取材前に英語を話し通しで、カラオケで歌った後のように、ノドが腫れ上がっていたのでした。
徐々に滑舌が悪くなり、聞き取りづらい英語を口にする私に、彼女もいぶかしげな表情を浮かべています。
それでも、日本人でバスケットボール関連の仕事をしている人間が珍しいのか、他の女性スタッフに「ねぇねぇ、この人・・・」と私のことを話し始めました。
結局、数名の女性スタッフに質問攻めにされ、談笑の中、彼女達の質問に答えながら、私の目線はある物に留まります。
2010-11シーズンのスケジュール表です。
「あの、大変厚かましいお願いなのですが・・・」と、なるべく大量に欲しいと願い出ると、快く承諾してくれました。
NBAのスケジュールを入手するのに苦労していただけに、大変ありがたい応対です。
彼女らのおかげで、大量のスケジュールを手にしミュージアムを後にします。

 彼女達のご好意に何でもいいから報いたい。
そう考えた私は、日本から持って来たキャンディを手に、大急ぎで車から博物館へ戻りました。
何事かと驚いていた彼女らにキャンディを差し出すと、さきほどのご年輩のスタッフが突然私を抱きしめ、唇こそ触れませんでしたが、ハグ&キスをしてくれます。

 「あなたの喋る英語はどこか変だけど、なんて優しい子なの」

ありがたいといえば、ありがたいお言葉・ご好意なのですが、内心

 (あの、耳はいいので、『どこか変』は聞こえていますが・・・)

と思うのですが、私の祖母と言っていいほどの年輩女性のなすがまま・言うがままでした。


次回、DUKE大学のランダムギャラリーに続きます。

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